土倉の金山
むかし、むかし 善光寺の西10里ほどの山あいに小さな村があった。 そこは裾花川の源流にほど近く、木曽義仲が越前に兵を進める時に戦勝祈願した場所でもあった。
この村に欲の深い貪欲ばあさんがおった。 名前をおまさばあさんと言った。
何をするにも金、金。 口にする言葉も最後にカネをつけてしゃべるほどであった。 そうかね!いいかね!くれるかね!
ある夜、ばあさんの岩だらけの山から金が出た夢をみた。 さあ、それからというもの 毎日毎日岩山を駆けずり回って金をさがし続けたそうな。 村人はばあさんが朝早くから夜遅くまで岩山を鍬で崩しているのを遠くから眺めておった。
そんなある日、ばあさんは鍬で崩した岩山にキラリ!と光るものを見つけた。 ばあさんは「これで おらあこの村一番の金持ちだ!」と、小躍りして喜んだ。
山を下りると今度は誰かに盗られてしまうんじゃないかと心配で心配で夜も眠れんようになってしまった。 ついにばあさんは金の出たところに小屋を建てて住み付いてしまったそうじゃ。
村の人は誰もが不思議がって どうしたのかを訪ねたが ばあさんは一切しゃべらなかった。
そのうちばあさんは病気になって死んでしまったそうな。 何年も経ってばあさんの建てた小屋がつぶれて下から金とおぼしき黄銅鉱が出てきて村人は全てを諒解したってもんだ。
それからこの山を誰ともなく土倉の金山と呼ぶようになったんだとさ。 (鬼無里村の奥の奥に土倉という集落があります。 この集落の昔話です。)
ばあさんがクワで掘り崩したのが向うに見える山じゃ。
ここは土倉っていう秘境であります。
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